生命保険契約の特約として、交通事故などによる災害の場合の災害割増特約が付加されている例が多くなっていますが、死亡保険金と同様に、保険金が支払われない場合が保険約款に定められています。具体的に見てみましょう。
災害による保険金、給付金が支払われない場合
CASE1
私の夫は、私を受取人として死亡保険金2,000万円、災害割増特約2,000万円の特約付生命保険に加入していましたが、つい最近、酒酔運転が原因で事故を起こし、死亡しました。聞くところによりますと、酒酔運転が原因の場合、災害割増特約に基づく保険金は支払われないと聞きましたが、本当でしょうか。
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あなたのご主人の場合、下記の④か⑥に該当することになります。したがって、災害割増特約2,000万円は支払われないことになります。
保険約款では、次の場合、災害による保険金や給付金が支払われない旨が定められ、死亡保険の場合よりも範囲が広くなっています。
①契約者または、被保険者の故意または重大な過失によるとき。
②災害死亡保険金受取人の故意または重大な過失によるとき。ただし、受取人が数人ある場合は、ほかの受取人に対しては残額を支払います。
③被保険者の犯罪行為によるとき。ただし、保険約款ごとに取り扱いが異なります。
④被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故によるとき。
⑤被保険者が、法令に定める運転資格を持たないで運転している間に生じた事故によるとき。
⑥被保険者が法令に定める酒気帯び運転またはこれに相当する運転をしている間に生じた事故によるとき。
⑦地震、噴火または津波によるとき。
⑧戦争そのほか変乱によるとき。
ただし、⑦、⑧の場合、死亡した被保険者の数によっては、保険金の全額を支払う、またはその一部を削減して支払うことがあります。
重過失とはどのようなこと?
上記①、②の重過失とは?
過失というのは不注意のことですが、法律上は重過失と軽過失に分けられます。重過失は、不注意の程度が大きいことで、故意と同視できるような場合を意味します。上記以外に保険金が支払われなかった裁判例
災害による保障の特約は、死亡が「不慮の事故を直接の原因として」生じたものであることが必要です。この点について、裁判例では、喘息持ちの人が遊園地の客席部分が回転する遊戯施設に搭乗し、その終了後間もなく死亡した場合、災害保障特約に基づく保険金が支払われるかというものがあります。判決では遊戯施設への搭乗が直接の原因ではないとして、保険金の請求が否定されました。