生命保険各社は、ときおり予定利率などを変更することにより、保険料を改定します。2013年4月、金融庁が12年ぶりに標準利率を引き下げました。これに伴い、生保各社は予定利率を変更、保険料が改定されました。定期保険の保険料はどのようになったのでしょうか。
営業保険料の構成と基礎率
<生命保険の営業保険料の構成>
営業保険料 | 純保険料 | 危険保険料 | 死亡保険金の財源 |
貯蓄保険料 | 満期保険金の財源 | ||
付加保険料 | 予定新契約費 | 契約の締結に関する経費 | |
予定維持費 | 契約の管理・維持に関する経費 | ||
予定集金費 | 保険料の集金に関する経費 |
保険料を決定するには、あらかじめ1.予定死亡率、2.予定利率、3.予定事業費率(これらを「基礎率」といいます)を決めておくことが必要です。純保険料は予定死亡率と予定利率で算定され、付加保険料は予定事業費率により算定されます。予定利率は、保険業法の規定に基づいてその目安となる基準(標準利率という)が設けられています。そこで、この標準利率が変更されると、各保険会社の予定利率も変更されるということになります。
予定事業費率については、保険金比例(保険金の1%、2%というような決め方)、保険料比例(保険料の1%、2%というような決め方)、定額制(保険金や保険料に関係なく、一定額にする決め方)などの方式があります。
定期保険などの保障性商品のアップ率は小さい
2013年4月、生命保険各社は、標準利率が同年4月1日から1.0%(改定前は1.5%)に引き下げられたことなどにより、主な保険種類に適用されている予定利率を1.65%から1.15%に引き下げる改訂を行いました。
この結果、ほとんどの保険商品について保険料は引き下げとなりましたが、定期保険など保障性の高い商品や保険期間の短い商品ほど保険料のアップ率は小さく、一方、養老保険など貯蓄性の高い商品や保険期間の長い商品ほど保険料のアップ率は大きくなっています。この改定でも、前回の改定と同様に各社で異なるため、同じ種類の契約内容でも、保険料に違いが出ています。
主要保険種類の予定利率
契約日 | 予定利率 |
---|---|
1996/4/2以降 | 2.9% |
1999/4/2以降 | 2.15% |
2001/4/2以降 | 1.65% |
2013/4/2以降 | 1.15% |
■5年ごと利差配当付普通定期保険
(保険期間10年・保険金額3,000万円)
男性 | 女性 | |||||
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契約年齢 | 現行 | 改訂後 | 現行 | 改定後 | ||
増減率 | 増減率 | |||||
30歳 | 7,710円 | 7,680円 | ▲0.4% | 6,600円 | 6,570円 | ▲0.5% |
40歳 | 11,130円 | 11,100円 | ▲0.3% | 8,700円 | 8,670円 | ▲0.3% |
50歳 | 19,770円 | 19,800円 | +0.2% | 12,510円 | 12,510円 | ±0.0% |
※口座振替・月払い
この商品で改定前後の保険料を比較すると、わずかですが40歳以下では減、50歳以降では増加となっています。
定期保険では、他の種類よりも今回の改定の影響は少ないようです。
破たん前の予定利率引き下げ
保険会社が「契約条件を変更しなければ、保険業を継続するのは困難」だと内閣総理大臣に申し出ることで予定利率を引き下げることが可能になっています。ただし、引き下げの下限は3%となっており、対象となるのは予定利率が3%が超えている1996年4月1日以前の保険契約などです。