2008年10月1日、日本郵政公社が民営化され、持ち株会社である日本郵政株式会社と郵便事業株式会社、郵便局株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の傘下各社が誕生しました。
簡易保険から様変わりした「かんぽ生命」について見てみましょう。
従来の簡易生命保険の特徴
わが国最初の近代的生命保険会社の創業開始が1881年。遅れること35年、1916年に簡易保険が誕生。その後紆余曲折を経て、運用資産120兆円に達する、わが国最大の生命保険制度へと発展を遂げました。
簡易生命保険法は、政府に「簡易生命保険契約に基づく保険金、年金等の支払に係る公社の債務を保証」することを義務づけていました。この政府保証こそが、簡易保険の最大の魅力です。しかも、商品種類は民間保険会社とほぼ同様(契約できる保険金額には、上限が設定)。加入時の医師による診査等が不要などの特徴もありました。このため、民間生命保険会社が低迷していた時期でさえ、簡易保険は順調に拡大を続けることができたのです。
かんぽ生命でどうなるの?
・簡易生命保険は
簡易生命保険法が廃止されたので、新たに簡易生命保険の契約はできません。一方、民営化前の簡易生命保険契約に係る権利および義務は、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が引き継ぎ、その保険契約が消滅するまで管理します。政府保証も継続されます。なお、保険金等の支払いや保険料収納等の実際の業務は、かんぽ生命に委託されています。また、保障内容の変更もできなくなりました。
・かんぽ生命の特徴
かんぽ生命では、政府保証はなくなりましたが、加入時の医師による診査は不要で、保険金額に制限があるなどの特徴は残されています。なお、加入限度額は、満期等によって契約が消滅していない簡易生命保険契約の保険金額を合算した金額になるので注意が必要です。
かんぽ生命が販売している保険の特徴
無審査で加入 | 申し込みの際、健康状態について医師による診査が不要。健康状態に関する一定の質問事項(現在かかっている病気・ケガ、過去3年間にかかっていた病気など)について、事実を告知する。 |
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加入限度額 | 加入限度額は1人につき、15歳以下は700万円、16歳以上は1,000万円(ただし特定養老保険に加入する場合は500万円、55歳以上の人が定期保険または特別養老保険に加入する場合は800万円が限度) 20歳以上55歳以下については、加入後4年以上経過した保険契約の保険金額が300万円以上ある場合には、既契約の保険金額を含め、通算して1,300万円までとなる |
郵政改革の見直し
政府は2010年4月、郵政改革見直し法案の骨子を発表。これには、かんぽ生命の保険金上限額を1,300万円から2,500万円へ引き上げることや、新規業務を認可制から届け出制にすることなどが盛り込まれました。これに対して生命保険協会は直ちに、「容認できない」との声明を発表しました。今後の動向に要注意です。