利率変動型積立保険は「アカウント型」ともいわれ、2001年4月以降相次いで販売されている保険商品です。従来の定期付終身保険に代わる保険として注目されていますが、保険について知識の少ない一般の人にもわかりやすい内容にする必要が指摘されています。
アカウント型保険とは何か
2001年4月の予定利率低下と同時に利率変動型積立終身保険が相次いで登場しました。明治生命の商品「ライフアカウントL.A.」がそのさきがけとなったことから「アカウント型」と呼ばれることがあります。
アカウント型の特徴は、以下のようになっています。
①アカウント型は「保障部分」と「積立部分」が明確に区別されています。積立部分については、契約者の自由な出し入れが可能です。(所定の手数料がかかります)
②従来の保険では、契約時点で決められた枠組みを変更することは難しかったのですが、アカウント型では積立部分を保障に回すことなどにより保険料の増額や契約の転換をせずに保障を増やすことが可能です。
③アカウント型では、積立部分に資金がある場合には、それを保険料にあてることができます。このため保障額や保険期間を変更せずに保険料を減らすことが可能です。
④更新時に各種特約の保険料がアップする場合、積立部分の金額を保障に回すことで、保険料を更新前と同じにすることができます(積立部分の保険料が少なくなります)。
⑤保険料払込期間満了後に積立部分を終身保障に移行したり、年金、一時金として受け取ることができます。
アカウント型は「逆ザヤ」が発生しない保険
アカウント型の場合、「貯蓄」部分にあたる積立部分の予定利率は1年または3年ごとに見直されることになっています。このため保険会社にとっては「逆ザヤ」が起こらず、一方で契約者にとっては、将来の予定利率上昇を期待して積み立てることができます。
現在の積立部分の予定利率は1.5%程度ですが、今後予定利率が上昇に転じる場合には、契約時の予定利率より条件がよくなるというメリットがあります。
契約者には年に1回、保険料の内訳や積立部分の金額がいくらかなどを示した年次レポートが保険会社から送られてきます。その状況により保障の内容を見直すことができるので、見直しを前提とした保険ということができます。
保険の見直しよりも新たに保険加入する人に向いた保険
アカウント型は万が一のときの遺族保障などに加え、保険を使って貯蓄をすることができる保険商品です。しかし、従来の定期付終身保険でも転換をせずに保障額を見直したりすることは可能です。アカウント型は定期付終身保険に加入している人が解約して新たに入る保険というよりも、就職や結婚、こどもの誕生などによって初めて保険に入る人が加入を検討する保険といえます。
保障だけでなく保険に貯蓄性を期待する人ならアカウント型に加入してもいいでしょう。
積立部分は打ち出の小槌ではない
「アカウント型」は保険料を変えずに保障を増額することができ、また保障部分の更新時に増額する分を積立部分から回すこともできます。「必要な保障を必要なときに」という考えに対応しているといえます。しかし、いずれの場合にも積立部分へ回す金額が少なくなります。
それによって、払込満了時の積立金額が減ってしまうことも考えておく必要があります。