生命保険を難解にしていた要因の一つである各種特約が整理され、最近の契約は以前と異なってわかりやすくなってきています。しかし、既存契約の大半には多くの特約が付加されています。それらの中から、医療関係の特約についてみてみましょう。
特約型と独立型の違い
医療保険には、「独立型」と「特約型」で、次のような相違であります。
特約 | 医療保険 | |
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何日以上の入院が入院給付金の対象となるのか(標準的な内容で、異なる会社もある) | ケガで5日以上継続して入院が対象 5日目より受け取れる(4日間は支払対象外) |
ケガで通算5日以上入院が対象 1日目より受け取れる(入院日数分) |
病気で5日以上継続して入院が対象 5日目より受け取れる(4日間は支払対象外) |
病気で8日以上継続して入院が対象 1日目より受け取れる(入院日数分) |
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入院給付金の支払程度は | 1回の入院につき120日程度で、通算して700~730日限度の会社が多い(1回の入院限度を120日型や730日型などから選べる会社もある)。 | 1回の入院につき120日限度で、通算して700~730日限度の会社が多い(1回の入院、通算の給付日数ともに1000日を限度としている会社や、1回の入院限度を120日型や730日型などから選べる会社もある)。 |
加入可能年齢 | 60歳~65歳まで加入できる (保険会社により異なる) |
60歳~65歳まで加入できる (保険会社により異なる) |
保障期間 | 80歳まで(一部の会社で終身) | 80歳~90歳まで(一部の会社で終身) |
商品を選ぶにあたって | 各社独自の特定の疾病を対象とした特約もあり、会社所定の取扱範囲内で必要な特約だけを自由に組み合わせて加入することができる。ただし、主契約である終身保険などとセット加入する必要がある。 | ケガや病気による入院または手術に対する保障があらかじめセットになっている。そのうえで、保障内容をさらに充実させるため、各社独自の保障を組み合わせて加入することができる。 |
どんな人に向いているか | 遺族への死亡保障も必要な人が終身保険などとセットで加入したり、老後の準備を目的とする人が個人年金保険とセットで加入するのが合理的。一家の大黒柱や共働きの主婦などに向いている。 | 遺族への死亡保障はほとんど必要ない独身で、ケガや病気は心配という人に向いている。医療特約だけでは十分でない人や、専業主婦、あるいはこれから老後を迎える人などに向いている。 |
加入できる会社 | すべての保険会社で加入できる。 | 約半数の会社で加入できる。 |
(「医療保障ガイド」生命保険文化センター)
不慮の事故が起きた場合のために
不慮の事故による生涯・死亡⇒傷害特約
被保険者が不慮の事故により180日以内に一定の身体障害の状態に該当したときなどに、身体障害の等級に応じた障害給付金を支払うものです。
等級 | 保険金額 | 等級 | 保険金額 |
---|---|---|---|
第1級 | 特約保険金の100%相当額 | 第4級 | 特約保険金の30%相当額 |
第2級 | 特約保険金の70%相当額 | 第5級 | 特約保険金の15%相当額 |
第3級 | 特約保険金の50%相当額 | 第6級 | 特約保険金の10%相当額 |
※上記は生保各社例。簡易保険は1級(100%)~5級(10%)、JA共済は1級(100%)~10級(5%)、全労済は1級(100%)~14級(4%)となっています。
なお、不慮の事故により死亡したときにも災害死亡保険金が支払われます。ただし、傷害特約に基づく災害死亡保険金は、限度が高くないので災害死亡保険金を増額したいときは、災害割増特約を付加できます。
傷害特約 (本人型) |
災害割増 特約 |
災害入院 特約(本人型) |
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男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性・女性 |
61円 | 43円 | 43円 | 30円 | 76円 |
不慮の事故による入院⇒災害入院特約
被保険者が不慮の事故により180日以内に継続して5日以上入院したときなどに、下の式で計算された額が災害入院給付金として支払われます。
災害入院給付金=入院日額×(入院日数ー入院開始日から4日)
災害入院給付金は、入院開始日を含め5日目から支払われ、また支払日数は1回の入院について120日分、通算して700日分が限度などとされています。
災害入院 | 疾病入院 | 手術 | |
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平均入院日額 | 5,406円 | 5,483円 | |
付加率 | 52.6% | 49.7% | 64.1% |
※付加率とは、個人保険と個人年金の総件数対する割合
(2003年版「生命保険ファクトブック」生命保険文化センター)
特約の3タイプ
特約は、その保障する範囲により下のようなものがあります。
1.本人型
2.家族型(妻と子に対する給付割合は本人の6割程度に減額)
「本人・妻子型」「本人・妻型」
「本人・こども型(こどもは20歳未満に限られます)」
3.こども向け(こどもだけを対象としたものです)