「終身保険のか解約返戻金を期待し、保険料が割安な高倍率の定期付終身保険に加入。ところが、解約返戻金は期待外れの低額。どうして?」こうした声をよく耳にします。
終身保険の解約返戻金のナゾに迫ってみましょう。
解約返戻金のしくみ
「竹内さん。終身保険の解約返戻金がずいぶん少ないようなんですが。」「私は払込後に受け取ったので、結構ありましたよ、三浦さん。保険の種類は何ですか。」「たしか、定期付終身保険です。」「『定期付』の3文字が気になりますね。」
終身保険では、保険料払込期間満了間近や払込期間満了後に解約すると、解約返戻金が払込保険料を上回ることがあります。つまり、貯蓄性があるということです。
30歳・男性、保険金額1,000万円、保険料払込期間60歳、準有配当
経過 年数 |
解約返戻金 | 払込保険料 総額 |
返戻率 |
---|---|---|---|
5年 | 951,000円 | 1,242,600円 | 76.5% |
10年 | 2,134,000円 | 2,485,200円 | 85.9% |
20年 | 4,599,000円 | 4,970,400円 | 92.5% |
30年 | 7,447,000円 | 7,455,600円 | 99.9% |
40年 | 8,275,000円 | 7,455,600円 | 111.0% |
※既存契約
定期保険特約に解約返戻金はない!
保険金額3,000万円の定期付終身保険で、終身保険部分が500万円ならば、解約返戻金に結びつくのはこれだけです。保険金額の大半を占める定期保険特約(2,500万円)には、解約返戻金はありません。
終身保険は貯蓄性のあるものですが、高倍率の定期付終身保険となると貯蓄には不向きといえるでしょう。定期付終身保険はわかりにくい点も少なからずあり、なかでもこの解約返戻金については誤解が生じやすく、トラブルになりやすいところです。
契約の際に、確認しておきましょう。
活用例6 終身保障で1億円、しかも安い保険料を、と考えている人
出版社に勤務する片岡明さん(30歳)。家族のために、なんとか1億円の終身保険をと考えています。手元の資料には、「普通終身保険、死亡保険金1億円 男性30歳 保険料月額168,000円 60歳払込満了」とあります。片岡さんの月給は35万円で、住宅ローンは10万円。「これは、キツイなぁー」と片岡さん。
このように、「終身保障で高額を希望、でも普通終身保険の保険料は高い」という人に、定期保険(無配当)は向いています。定期保険(契約年齢30歳、保険期間70歳、1億円)だと、保険料月額は50,200円ですみます。(L社)
老後資金に役立つのは主契約
定期付終身保険の総額が5,000万円などと高額でも、払込期間満了後の老後資金に力を発揮するのは、主契約。保険証券等で確認しましょう。