2001年4月に保険料が改定されたことに伴い、利率変動型終身保険の販売開始と、定期付終身保険の販売終了が相次ぎました。これまで、利率変動型終身保険は一部の保管会社だけで取り扱われていましたが、今後、生命保険の主流になる可能性が感じられます。
利率変動型終身保険のしくみ
一般的な生命保険の場合、通常は契約時に適用される予定利率は、将来金利水準が変化しても、契約後に変更されることはありません。しかし利率変動型終身保険(予定利率変動型、積立利率変動型、利率変動型、利回り変動型などの名称)では、保険期間中に金利水準が変化した場合、その変化に基づいて適用する予定利率を変動させるというものです。
<積立利率変動型終身保険の位置づけ>
積立利率変動型終身保険 | 無配当終身保険 | 変額保険(終身型) | ||
---|---|---|---|---|
リターン | 解約返戻金 | 上昇の可能性あり | 固定 | 上昇の可能性あり |
保険金額 | 増加の可能性あり | 固定 | 増加の可能性あり | |
リスク | 解約返戻金 | 保証あり | 保証あり | 保証あり |
保険金額 | 保証あり | 保証あり | 保証あり |
(D社)
利率変動型終身保険のうち、積立利率変動型終身保険の場合、予定利率は契約後一定期間(毎月、1年など)ごとに見直されます。適用される予定利率には最低保証があり、予定利率の見直しによって適用される利率が最低保障する利率より高く設定された場合には、それに応じて最低保証される年金額や保険金額、解約返戻金などが増えます。
つまり、契約の際に決めた保険金や解約返戻金は最低保証され、運用実績がよければ増加分が受け取れるというものです。したがって、リスクは少ないといえます。なお、払い込む保険料は保険期間中は変わりありません。
経過年数 (年) |
年齢 (歳) |
払込保険料 累計(円) |
積立利率1.75% | 積立利率2.75% | ||
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基本保険金額 | 解約返戻金 | 基本保険金額+増加保険金額 | 解約返戻金 | |||
5 | 35 | 1,280,160 | 1,000万円 | 約92万円 | 約1,004万円 | 約95万円 |
10 | 40 | 2,560,320 | 1,000万円 | 約208万円 | 約1,018万円 | 約219万円 |
15 | 45 | 3,840,480 | 1,000万円 | 約325万円 | 約1,042万円 | 約351万円 |
20 | 50 | 5,120,640 | 1,000万円 | 約450万円 | 約1,075万円 | 約499万円 |
25 | 55 | 6,400,800 | 1,000万円 | 約585万円 | 約1,117万円 | 約666万円 |
30 | 60 | 7,680,960 | 1,000万円 | 約730万円 | 約1,169万円 | 約855万円 |
35 | 65 | 7,680,960 | 1,000万円 | 約773万円 | 約1,228万円 | 約950万円 |
40 | 70 | 7,680,960 | 1,000万円 | 約814万円 | 約1,289万円 | 約1,051万円 |
1.30歳・男性・60歳払込満了・保険金額1,000万円・口座振替月払(月額21,336円)
2.上表の数値は、積立利率(1.75%、2.75%)が保険期間中一定でそのまま推移したと仮定して計算したもの。なお、積立利率1.75%については最低保証されています。
ユニバーサルタイプの登場
2001年4月、保険会社各社が発売した「利率変動型積立終身保険」では、保障部分と積立部分(ファンド部分、アカウント部分などという)が区別されています。
契約者はかなり自由に積立部分の出し入れができ、生命保険以外の金融商品(損害保険、銀行、投資信託)との資金移動を考慮したものもあります。これら新たに登場したものは、ユニバーサル型の保険といわれています。
また、契約者は口座内でかなり自由に保障内容の変更、すなわち転換ができるようになっているようです。
かなり複雑なしくみなので、キチンと理解してから契約するようにしましょう。
ユニバーサル保険
保険契約者が自由自在に払い込む保険料の中から、死亡保障に必要な定期保険料と付加保険料が差し引き、残額をその時々の利回りによって運用・利殖する生命保険。通常の生命保険商品と違う点は、運用ファンドの部分と死亡保障の部分が分離していること、および保険料の払込時期・額が自在でありことです。(「生命保険」柴田忠男を一部改変)