大手保険会社は、2000年の春に「利率変動型積立終身保険」を発売。これを契機に、翌2001年4月、数社が追随しました。いずれの社でも、定期付終身保険を販売終了とし、それに代わる主力商品と位置づけています。この新しいタイプの保険のしくみをみてみましょう。
利率変動型積立終身保険のしくみ
「進化する保険」とのキャッチコピーで、大手保険会社が「利率変動型積立終身保険」を契機に、「あなたと生きていく保険」「保険を超える」などと銘打ち、数社が追随。ユニバーサル・タイプの保険との声もあります。
この新タイプの「利率変動型積立終身保険」は、従来からある「積立利率変動型終身保険」と、とてもよく似た名前ですが、まったく異なるものです。「積立終身保険」の「利率変動」タイプなのです。
保険の種類 | 保障内容 | 解約返戻金 |
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積立利率変動型 終身保険 |
契約時から生涯保障。死亡保険金(最低保障あり)と増加死亡保険金(運用結果による)。 | 最低保証あり。運用結果により、増額。 |
積立終身保険 | 保険料払込期間中:死亡保障なし。払込保険料程度の支払。 保険料払込期間満了後:生涯保障。 |
保険料払込期間中:払込保険料程度。 保険料払込期間満了後:満了後の経過期間に応じて増額。 |
利率変動型 積立終身保険 |
保険料払込期間中:死亡保障なし。積立金(変動する)程度の支払。 保険料払込期間満了後:生涯保障。積立金(変動する)により保障額は異なる。 |
保険料払込期間中:積立金(変動する)程度。 保険料払込期間満了後:積立金(変動する)により異なり、経過期間に応じて増額。 |
積立終身保険では、保険料払込満了までの間は保障はなく(払込期間中の死亡については払込保険料程度)、満了後に初めて終身保険による生涯保障となります。払込期間中は死亡保障がないため、一般の終身保険よりも保険料が低額です。このケースの場合、40歳から60歳まで保険料を払い込み(この間は死亡保障はありません)、払込保険料を原資に、60歳になってようやく生涯保障の終身保険に変更します。「加入したときから保障が始まる」わけではありません。
利率変動型積立終身保険でも、このしくみは同じです。異なる点は、終身保険へ移行する原資になる「積立金」が増減するということです。積立金の積立利率は一定期間(保険会社により3年あるいは毎年)ごとに見直され、また自由に出し入れできます。これらにより積立金は変動し、それにつれ終身保険の保障額も変わります。
払込満了後の保障
保険料払込完了後は、積立金をもとに終身保障など好みのコースを選択します。いずれの場合でも、保障額は積立金の額により決まります。
払込満了後の保障 終身保障・年金・一時金・積立継続
利率変動型積立終身保険は、従来の積立終身保険を改良したものなのです。
積立金の増減
払込保険料から保障部分(死亡保障や医療保障)の保険料を除いた部分が積立金となります。積立金の出し入れには一定の制限があるものの、サイフと同じようなもので、ほとんど自由に行うことができます。積立利率には最低保証がありますが、出し入れが自由なため、積立金額は増減します。なお、積立金の出し入れには、保険会社が定める手数料を支払うこととなります。