払済保険と似たものに延長保険があります。保険料の払込みを中止して保障を継続するという点では同じですが、異なる点もいくつかあります。
それでは、延長保険とはどのようなものでしょうか。
延長保険とは何だろう
「ふーん。保険料を払わなくても保険が続くの。払済保険というのは、面白いのねぇー」とグラスに残ったチューハイをグイッと一気に飲み干し、サラダに箸をのばしたＴさん。すると、スルメをかじりながらＩさんが、「あのねえ。それから、似ているやつに延長保険ていうのも確かあったんだよね」。こちらはかなりろれつが危なくなってきています。もう、みなさんたいへん。でも、会話は弾んでいるようです。
延長保険とは、保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金を一時払いの定期保険の保険料に充当することで、そのとき以降の死亡保障だけを継続する方法です。延長定期保険ということもあります。
以前に養老保険に加入したのですが、途中で保険料払込みが困難となったので、その時点での解約返戻金をそれまでの死亡保険金と同額の一時払い定期保険の保険料にあてたものです。そこで、それ以後の保険料の払込みは不要となりますが、その期間についても、新たな定期保険から死亡保険金が支払われます。なお、変更後の保険期間がどこまでになるのかは変更時点での解約返戻金の額によりますが、最長でも元の保険期間が限度とされています。
もし、元の養老保険の保険期間まで同額の定期保険を購入しても契約返戻金に余りが生じたときは、その額は満期時に生存保険金として支払われます。
＜払済保険と延長保険の比較＞
| 払済保険 | 延長保険 | |
|---|---|---|
| 保険料払込み | 不要 | |
| 保障 | 継続する | |
| 保険期間 | 変更なし | 短くなる |
| 保険金 | 減額 | 死亡保障だけ |
活用例４ 満期保険はあきらめて、死亡保障だけにしたい、という人
尼崎市の精密機械メーカー勤務のＮさん（40歳）。月給40万円、住宅ローン12万円。老後の資金にと養老保険を10年続けています。
今春、めでたく長男の和志君（19歳）が東京の私立大学に入学。そこで、これから少なくとも４年間は、住宅ローンのうえに毎月10万円の仕送りです。「キツイなぁ。養老保険はダメか。でも、卒業するまでは、死亡保障がないと心配だしなぁ」と思いは複雑。
このように、「死亡保障だけは残したい」という人に延長保険は向いています。
利用する際のチェック・ポイント
払済保険と延長保険については、次のことも注意しましょう。
１．解約返戻金の額が少ない場合には、利用することができません。
２．これらの制度の適用がないとしているものもあります。
３．「契約後○○年経過してから」払済保険や延長保険を利用できるとしているものもあります。
