告知義務違反は「重要な事項」について生じます。
それでは、どのようなことが告知すべき「重要な事項」にあたるのか、また、どこまでが告知義務の範囲に含まれるのか、具体的な例をあげて見てみましょう。
告知すべき「重要な事項」とは
告知すべき「重要な事項」とは、保険契約を締結する際、将来の危険度を判断するような事項のことです。具体的に「重要な事項」とは、被保険者の年齢、職業、最近の健康状態などです。
保険会社と被保険者が、保険契約を結ぶときや契約内容を決定するときには、保険契約者および被保険者は保険会社に「重要な事項」を告知しなければなりません。
具体的な例:
・被保険者の年齢
・職業
・最近の健康状態
・過去5年以内の既往症
・身体の障害など
CASE1
生命保険に加入する際、保険料が安くなるので年齢を2歳若く告知してしまいました。保険会社に訂正を申し入れたいのですが、可能でしょうか。
↓
被保険者の年齢は告知すべき重要な事項に該当します。誤った告知をした場合の処理は、次の2種類に分けられます。
○実際の年齢が保険会社の定める契約年齢の範囲外の場合
たとえば、約款の保険料表によると70歳が契約年齢の限界ですが、実際の年齢が72歳の場合には保険契約は無効です。その際、すでに払い込まれた保険料は返還されます。
契約年齢の範囲外 ⇒ 保険契約は無効 ⇒ 払込済保険料を返還
○実際の年齢が保険会社の定める契約年齢の範囲内の場合
保険会社に訂正を申し出ることができます。その際、実際の年齢に基づいて保険料を更生し、すでに払い込んだ保険料のうちの不足分が改めて請求されます。
保険料の更生 ⇒ 保険料の不足分を請求
CASE2
生命保険に加入する際、失業中でしたので、設計事務所に勤務していることにしてしまいました。告知義務違反となるでしょうか。
↓
告知すべき事項には含まれません。生命に関する危険測定に無関係な職業の詐称は、重要な事項にあたらないからです。
告知すべき事項かどうかの裁判例
告知すべき事項にあたるとされた例
・被保険者がほかの保険会社から保険契約の締結を拒否された事実
・入院を勧告され、かつ入院の予約をした事実告知すべき事項にあたらないとされた例
・小学校の教員であるところを貿易商と偽った事実
・ほかの保険会社と生命保険契約を締結した事実