生命保険の見直しでは、保障内容の上乗せや追加、さらに契約の転換が必要になってくる場合もあります。「必要な時期に必要な保障を」というポイントは変わりませんが、それぞれにどのような注意が必要なのか見ていきましょう。
中途減額と特約の中途付加・変更
生命保険を見直して保障内容を適切なものにする方法として、中途増額、特約の中途付加・変更などがあります。
CASE1
独身時代(30歳)に加入した60歳払込み満了となる定期付終身保険の見直しを考えています。
加入当初は、終身保険部分1,000万円、定期保険特約部分も同じく1,000万円でした。その後結婚してこどもが生まれると、万が一の保障として2,000万円という死亡保証金では不足する時期がくることが予想されます。こどもが成長して高校、大学に入学して卒業するまでの期間などは定期保険特約の保障を2,000万円に増額する必要があるかもしれません。
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このようなとき、生命保険の中途増額という方法をとるほうが、契約を転換するよりも一般に安くすみます。終身保険の1,000万円と定期保険特約の1,000万円については従来の保険料のままで、1,000万円の増額部分についてだけその年齢時点での特約保険料が上乗せされるからです。
利用条件の詳細は保険会社によって異なり、増額する時点で告知や医師による診査が必要となりますが、契約を転換して保険料を増額するよりも有利な方法です。
○特約の中途付加・変更
特約の中途付加や変更のライフサイクルによる保障の見直しに有効な方法です。
ベースとなる主契約の終身保険をそのままにして、災害入院特約や疾病入院特約などを付加することが一般的です。特約には本人だけでなく、家族を保障するタイプもあります。
契約転換を有効に利用するときの注意点
生命保険の契約転換は、同一の生命保険会社で、現在の保険契約を下取りしてもらい、解約返戻金や積立配当金などを新規に加入する保険料にあてる方法です。
現在の保険契約の積立部分や解約返戻金などを新規契約の保険料の一部に充当するために、保険料の負担を軽くすることができます。既契約から新規契約に乗り換えるため、イメージとして自動車の下取りと同じように見えますが、保険の下取り(契約転換)の場合にはいくつかの注意点があります。
○契約転換の注意点
・契約を転換するということは、その時点で新規に保険加入することになるので、加入時の予定利率が適用されます。予定利率が高かった頃の保険を転換するのは慎重になる必要があります。
・新規の保険加入と同様になるため、健康状態についての告知や医師による診査が必要となります。このため、健康状態によっては加入できない場合も起こり得ます。
・転換前の保険加入時より被保険者の年齢が上がっているため、転換前の保険と比較して転換後の保険料は一般に高くなります。保険料を低く抑えるためには、保障内容を見直して低くするか、終身保険部分を減額して定期保険に切り替えるなどの必要があります。
解約せずに保険料を安くしたいときには
家計の保険料負担を抑える目的であれば保険を解約するのも一つの方法ですが、解約をせずに保険料を安くしたいときには払済保険や延長保険、中途減額などの方法を用いてみましょう。払済保険や延長保険の場合には以後の保険料払込みが不要になりますし、中途減額の場合には払込保険料が減額されます。生命保険会社によって詳細は異なりますが、保障内容をよく検討して効果的な見直しをしてください。