解約返戻金とは、保険契約を解約したときに戻ってくるお金です。解約しても支払った保険料の金額が戻ってくるわけではありません。なぜなのでしょうか。その理由とともに、契約者が注意すべき点を見てみましょう。
解約返戻金の計算方法
契約返戻金(定期保険、終身保険、養老保険)の計算は下記のとおりです。
解約返戻金=支払済み保険料の総計ー経費(契約した時点でかなりかかります)ー契約から解約までの保障部分(契約してから解約までの間、万が一自分が死亡した場合には、保険金が支払われていたはずです。この部分の保険サービスについては戻ってきません)+配当(特別配当は契約して10年経たないともらえません)
生命保険会社の事情
生命保険会社は契約者から集めた保険料を不動産、有価証券、貸付金という形で長期的に運用しています。すぐに返さなくてもよいと思って、そのお金でビルを建て家賃収入を得ようとしたら、「解約だ、保険料を返してくれ」と言われてしまいました。このようなことになってしまったら、生命保険会社は困ってしまいます。保険業務にかかる費用は、ほとんどが契約時のものです。外務員に手数料を支払ったり健康診断を行ったり、契約者を作ったりします。それですぐに解約されては困るわけです。
保険会社はたくさんの社員(=契約者、≠従業員)から成り立っており、1人の契約者を優遇して、ほかの契約者に損失を与える訳にはいきません。そのため、あまり多くの保険料を返すわけにはいかないのです。
契約者としての注意点
契約する前によく考えましょう。
- 家族年表とリスク分析表を作ってみましょう。
- できれば1人で決めるのではなく、夫婦、家族で相談しましょう。
保険期間は長期にわたるので、当初想定していないことが起こり得ます。契約にあたっては、なるべく柔軟に対応できるようにしましょう。
例
- 一生独身のつもりが、資産家と結婚することになった。
- 会社が倒産して失業し、保険料を支払うことができなくなった。
- 脱サラしたいが、開業資金が不足している。もう少し預金していればよかった。
一時的に資金が不足するかもしれません。そのような場合には契約者貸付金の利用も考えましょう。どれだけ借りられるかは保険会社に問い合わせれば教えてくれます。ただし、やや利息が高いので注意が必要です。
一度解約してまた入る場合、健康診断でひっかかる可能性があります。
そのほか、生命保険会社に直接相談してみるのもよいでしょう。外務員の方より、本社や支社の相談担当の方のほうが相談しやすいことがあるかもしれません。
ちょっと待って!解約して本当に損しない?
解約するときは、今まで保険料を支払ってきたことを忘れて、
1.解約のメリット
2.解約のデメリット
3.2.の解決策
の3つを書き出し、冷静に考えてみましょう。